すっかり忘れていたのですが、DTMに関する講座っぽいものをカテゴリで分ける予定だったんです(^-^;。以前書いた記事でこれに属するものもついでに移動させましたんで、ご了承くださいm(__)m
「講座」と銘打つと語弊がありますから、現時点では、DTMで曲作りがしたいという方の一助となればという意味合いが強いです。偉そうに講釈していますが、生温かい目で見守ってくだされば幸いですm(__)m
もちろん、これまで書いたものも今回の記事も、理論として確立されているものではなく、私のこれまでの経験から知識として共有できれば有意義かもしれないというものをピックアップしただけですので誤解なきよう…。
さてこの「アーティキュレーション」という言葉、DTMをご存じない方、音楽に明るくない方にとっては極めて馴染みが薄いと思います。しかし、DTMをやってみたいという方にしてみると避けては通れない重要なテクニックの一つなのです。
Wikiには、「音楽の演奏技法において、音の形を整え、音と音のつながりに様々な強弱や表情をつけることで旋律などを区分すること。」とあります。ざっくり言うとスラーやスタッカート、アクセントやらクレッシェンドやらがこれに当てはまるのではないでしょうか。
まずはスタッカートが分かりやすいので、これを使って例示したいと思います。
4分音符1個ぶんの長さを表す数値が100だとします。初期の頃のDTMにおけるスタッカートは33〜50で打ち込むべしと言われていたように記憶しています。(誤解を避けるためにあえて言及しますが、DAW等の性能(分解能)により、4分音符1個ぶんは96だったり120だったり480だったりします。あくまで例ですので…)
しかし、実際にこの通り打ち込むと、50ではまったくスタッカートに聴こえないということがしばしばあるのです。
蛇足ですが、DAWの中には音符の長さと実際に発音する長さの両方で内部処理されるものもあるようです。休符の扱いに所以するのでしょう。古くはレコンポーザにおいて、ST=ステップタイムとGT=ゲートタイムという入力方法が存在していました。STは音符の長さ、GTは実際に鳴らす長さという意味ですね。直感的で分かりやすかったです。今はピアノロールが主なので、操作としてはズズッとドラッグして入力するだけですから本来の音符の長さを意識しない人も多いかもしれません。逆に楽譜の知識がある人にとっては音符の長さは重要なので、必然的にベタで打ってから短くするという作業が欠かせないというパターンになるかと思います。私は後者です。ピアノロールに慣れるまでけっこう苦労しました…。
では、どうしてそれだとスタッカートにならないのでしょうか。一つの理由として、小学校の音楽の教科書に「スタッカートとはその音符を短く切って演奏・歌唱すること」と書いてあって、「じゃあそれってどのくらい短く?」と聞かれると「その音符の長さの半分程度」と答えるべし的な通念がある…ということが挙げられます。これは「概算」であって「正確にそうしなさい」ということではありませんから、人間の感覚で長さなんてどうにでもなるのです。ところがコンピュータの世界ではそうもいかず、数値で指定する必要があります。指定された以上、コンピュータは正確にその数値ぶん鳴らしますから、そこにズレが生じるという仕組みです。
演奏する場合のことを考えれば分かると思います。4分音符にスタッカートが付いていたとして、律儀に半分の8分音符ぶんを鳴らす人はいません。しかし、8分音符のスタッカートなら16分音符ぶんでも十分スタッカートに聴こえます。プレイヤーの側からすると、感覚的には4分音符のスタッカートも8分音符のスタッカートも特に意識せず同じ長さで演奏しているという場面も多いはずです。当然、テンポやらフレーズやらにも左右され、スタッカートが付いた音符の長さは変化しますけど。
つまり、これを打ち込みの際にも当てはめると良いというのが結論になります。とりあえずは短くして聴いてみて「この長さでスタッカートになるな」という数値を探し当てるのが一番の近道なんですね。元の音符の長さだけではなく、楽器(音源)によって、さらには前後の音符との兼ね合いによっても異なってきますから、とにかくいろいろと試してみることです。数値に頼らず自分の耳に頼りましょう。
これ以上に難しいのがテヌートやレガートで、パーセンテージで簡単に表せるようなものではありません。特に音が減衰しない楽器(電子楽器含む)では、下手に鳴る時間を短くすると不自然極まりないテヌート・レガートになってしまうということも多々あります。
私がテヌートやレガートを入力する際には、次の音符の直前ギリギリまで伸ばし、ボリューム系のコントローラを使って強制的に減衰させたり、音色エディットでキーオフの設定を変えたりといった作業を入れます。実は今の音源には、次の音符と100%でつながっていない場合の発音に変化を持たせているものも存在し、上手く切ってくれるという有り難い機能が付いていたりしますんで、その鳴りを聴きながら長さを調節するというのも音源との賢い付き合い方だと思いますよ。
あとは、楽譜に記載されない基本的な演奏のお約束というのも知っておいて損はないでしょうね。
例えば、シンコペーションなら2つ目の音(長い音)はアクセントを付加するのが普通ですから、ベロシティは大げさにならない程度に盛らなくてはならないですし、2つ目にベロを盛ったぶんだけ1つ目の音はスタッカートに近くしたほうが良いということも踏まえて打ち込む必要があります。音の強さと長さは、音符を連ねてフレーズをつくっているという理由から密接なつながりをもっていますので、強弱を変更したら長さも見直すという作業をぜひおすすめしたいです。特にブレスが必要な楽器は必須だと思います。もちろんボーカルにも当てはまりますので、調教にも使えるテクかもしれません。
また、管楽器等のクレッシェンドも、エクスプレッションを機械的に上げるだけの入力ではなく、音の頭にスフォルツァンドをもってきたほうがリアルになります。アタック音が必要だということです。楽譜にsfzの記号が無かったとしても、曲調から判断したなら付加することに問題はありません。音楽は、作り手・演奏者の想いや考えが活かされるからこそ楽しく、自由なのです。
というわけで、残念ながらここらへんに演奏経験と打ち込み経験の接続部がありまして、鳴り方の差に直結してしまうんですねぇ…。「音楽経験は無いけど打ち込みはできる」という人や「音楽経験は豊富だけど打ち込みは初心者」という人のデータにのっぺりとした印象を抱いてしまう理由がこれなんです。演奏経験38年、打ち込み経験33年の私も未だに試行錯誤の連続なんですから(^-^;;;。
…う〜ん、他にも書きたいことはたくさんあるのですが、次回以降ということで(;´д`)。この文量で原案・入力・校正に2時間半かかりました_| ̄|○ このカテゴリはエネルギーが漲っているときのみの更新になりそうです…。
posted by あずぷろスタッフ at 01:25| 秋田 ☔|
Comment(0)
|
DTM・打ち込み
|

|